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Enjoy A New Island

ボーイミーツガールを研究するブログのような何か

涼宮ハルヒの憂鬱をボーイミーツガール的に分析する

日常的非日常的ボーイミーツガール

涼宮ハルヒの憂鬱』をいつかボーイミーツガール的に解体したいと思っていた。

このシリーズは『憂鬱』後も続くが、ボーイミーツガールとしては『憂鬱』で完結しているのではないかと思われる。

今回、ゴールデンウィークということでこの機会にと考え、『憂鬱』を自分のボーイミーツガール論に沿って語ろうとした。

以下はそんな試みをしようとした記録である。

なお、アニメではなく原作小説をもとに書いている。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

 

 

出会い

キョンハルヒの出会いは入学後のクラスのホームルームである。

そこでの自己紹介でハルヒは言い放つ。

「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」

それを聞いて思わずキョンは振り向く。

すると、その発言の主がえらい美人であるということにも気づく。

とんでもない美人がとんでもないことを言っている。

自分がキョンを含むクラスメートの立場だったらそれだけでハルヒのことが頭に焼き付いて離れないはずだ。

キョンはこの時ハルヒと出会うのである。

涼宮ハルヒの憂鬱』の出会いのシーンは、入学後の自己紹介というありふれたシーンを、そのルックスだけでなく変わったセリフを組み合わせることで印象的なものに仕立て上げている。

 

ハルヒキョンと出会うのはもう少し先のことだ。

自己紹介後の段階でキョンハルヒに話しかけているが、この時はハルヒはまだキョンのことをそこらの有象無象の一人としか思っていない。

しかし、曜日ごとに髪型を変えている理由を見破ったことからハルヒキョンをまともに返事をするに値する存在として特別視するようになる。

この時、ハルヒキョンと出会ったと言えるのではないだろうか。

 

日常から非日常へ

ハルヒキョンを特別視するようになったことで、キョンは平凡な日常からハルヒによって非日常へと連れ出されるようになる。

ガールの登場によってボーイの日常が非日常へと変化していくのはボーイミーツガールではよく見られる展開である。

ハルヒの自己紹介によってキョンハルヒのほうを向いたのは、キョンが非日常への扉の前に立ったということにも思える。

そして、その扉の先へと足を踏み入れたのが、キョン曰く「魔が差した」という髪型の変化について指摘した時である。

これによってキョンハルヒという世界に入り込むこととなる。

それからというもの、キョンは次々と非日常的な出来事と遭遇するようになる。

宇宙人、未来人、超能力者との関わり、朝倉の襲撃、閉鎖空間。

どれもがかつての彼の日常にはなかった非日常的イベントである。

キョンは非日常を望みながらも人生なんてこんなものだろうと諦めている存在である一方で、ハルヒは非日常を望み、それに向かって行動を起こす存在だ。

つまり、キョンは消極的非日常渇望者で、ハルヒは積極的非日常渇望者なのである。

それなのにハルヒのところには特段非日常がやってくるわけでもない。

そんな日常に飽き飽きし、さらにキョンに対するもやもやもあったのだろう、ハルヒは閉鎖空間を生み出してしまう。

 

非日常から日常へ

自ら作り出した閉鎖空間に入り込んだハルヒ

その空間にハルヒは望んでいたものを見つける。

つまり、彼女の日常になかった非日常だ。

つまらなくない、面白いことが起こりそうな世界。

しかし、キョンハルヒを元の日常に戻そうとする。

キョン自身ひそかに望んでいた非日常だが、彼は非日常的な日常を経験したことで、日常も悪くないと判断したのだろう。

キョンハルヒと出会ったことによって自分の日々が日常的な日常から非日常的な日常に変わっている。

一方でハルヒキョンとの出会いでキョンという特別な存在を見つけることができたが、相変わらず日常は日常的な日常のままだったうえに、キョンハルヒのことをどう思っているのかがつかめない。

そんな時にやってきた非日常的な非日常。

ハルヒが待ち望んでいた非日常である。

だが、キョンハルヒにキスすることによって元の世界に戻す。

これによって物語は日常から非日常、そして再び日常への帰還を果たす。

 

イベントいずこ

で、問題は二人の関係性を変化させるイベントはどこかということである。

最終的に二人は互いにそれなりの好意を寄せていると思われるが、どこで気持ちがそうなったかが個人的には分かりづらい。

ハルヒキョンに好意を寄せているのは、第4章のくじ引きの段階でみくるとキョンがペアになったことにぶーたれているという点からすでにそうなっている、あるいはそうなりつつあることがわかる。

つまり、ハルヒキョンを好きという感情を向けるようになったのはそれより前の時点からということになる。

それは、キョンハルヒの髪型の理由に気づいた時からかもしれないし、SOS団を作るということにキョンがなんだかんだでのってくれたことからかもしれない。

ただ、厳密にここ、というのは分からない。

 

好意の始まりは前述したとおりだが、その後の関係性の変化について言えば、ハルヒキョンを信頼していることがわかるシーンがある。

それはキョンに対し、自分がなぜ非日常を求めるかを語るシーンである。

ここはかなりの長台詞であり、いつものハルヒらしくない弱さというか心の内が垣間見える。

いわば、ハルヒがなぜ非日常を求めるかの秘密をキョンに話しているわけで、これはハルヒなりのキョンへの告白ともとれる気がする。

秘密の共有はボーイミーツガールにおいて関係性の構築に使われるパターンの一つであり、このシーンもそれに当てはまるのではないだろうか。

 

また、ハルヒが着替えるのにキョンを追い出すシーンがあるが、ここはその前にキョンとみくるがいちゃついているように見える場面でもある。

これはハルヒがみくるに嫉妬しているのではないか。

つまり、関係性マイナスイベントである。

しかし、マイナスイベントの後はプラスイベントが行われるのがボーイミーツガールのお約束でもあるので、後述の閉鎖空間での出来事が起こる。

 

そして、極め付けが閉鎖空間でのsleeping beautyである。

ここでキョンハルヒに日常も悪くないと言う。

しかし、ハルヒにとっては待ち望んでいた非日常であるし、何よりキョンという特別な存在と二人きりだ。

ハルヒにとっては日常を求めるキョンに反対なわけである。

しかし、このシーンでハルヒキョンのキスを受け入れているのだ。

その後に閉鎖空間が消えていることから、ハルヒの中でのもやもやが取れたと推測される。

その理由はいくつか考えられる。

例えば、キョンがキスしてくれた、好きなキョンのいる日常なら日常も悪くないのではと思ったからかもしれないし、キョンが自分をどう思っているか(要するに好き)がわかって安心したからかもしれない。

ここでキョンハルヒの関係は大きくアップ(少なくともハルヒは大きく)したのではないかと思われる。

 

そして、帰還後にハルヒキョンが好きだと言っていたポニーテール姿を見せる。

それに対し、キョンは「似合ってるぞ」と。

この点からキョンハルヒの関係性は最終的に十分な信頼関係を構築したのではということがうかがえる。

 

つまり、何が言いたいかというと『涼宮ハルヒの憂鬱』はボーイミーツガールの3要件を揃えているちゃんとしたボーイミーツガール作品であるということだ。

 

おわりに 

今回試みをやってみた感想として、『涼宮ハルヒの憂鬱』は実に考察しがいのある作品だなと思った。

調べてみるといくつもの意見があり、人によって見方が全然違うものもあったりして、非常に面白かった。

今回は『憂鬱』単体で、しかもアニメ抜きで書いてみたが、これがシリーズ全体、アニメも含んだ内容で書くとなるとまただいぶ変更が加えられるのではないだろうか。

 

今度ハルヒ関連を書くとしたら『涼宮ハルヒの消失』だろうな、と漠然と思っている。

憂鬱と消失を対比してみても面白いかもしれない。

 

ここまで読んでくださった方に感謝を。

 

参考にしたサイト

takemurako.blog9.fc2.com

amberfeb.hatenablog.com

blog.livedoor.jp

fujimitiwagatabi.blog.fc2.com